WordPress関係の書籍も本当にたくさん出ていますが、今月発売された『「公式ディレクトリ掲載テーマ」で学ぶ WordPressサイト制作入門』のモニター募集に応募したところなんと当選! ということで書評を書かせていただきます。

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自分は滅多に抽選など当たらないので、これでもう人生の運を使い果たしてしまったんじゃないかと当選通知でちょっと怖くなりましたが(笑)、まだまだ勉強中の自分にはこれ幸いと、有り難く拝読させていただきました。

モニターの条件は書評を書くことですが、太っ腹にも「別にムリにいい評価にしないで構いません。思ったことを書いてください。率直な感想をお願いします」とおっしゃっていただいてますので、率直に(笑)書かせていただこうと思います。

まずは目次。本書は以下のような構成になっています。

第1章 WordPressでWebサイトを作ろう
1-0 この章の概要
1-1 本書の読み方とその目標
1-2 学習用開発環境の構築とWordPressのインストール
1-3 Webサイトを形成するWordPressテーマ
1-FT これからWordPressをはじめる人へ

第2章 デフォルトテーマからWordPressとテーマの基本を学ぼう
2-0 この章の概要
2-1 デフォルトテーマとは
2-2 Twenty Thirteenで表現できるコンテンツの種類
2-3 WordPressテーマの仕様
2-4 Twenty Thirtyeen各テンプレートファイルのポイント解説
2-FT テーマ開発に役立つWebブラウザの開発ツール

第3章 オリジナルテーマ開発フロー ~基礎編~
3-0 この章の概要
3-1 まずはオリジナルテーマ「sonoichi」を使ってみよう
3-2 オリジナルテーマ開発の全体像を把握する
3-3 WordPress実装前に下準備をする
3-4 WordPressテーマを実装する
3-FT デフォルトテーマをカスタマイズする5つの方法

第4章 オリジナルテーマ開発 ~応用編~
4-0 この章の概要
4-1 テンプレート改装を活用する
4-2 functions.phpでテーマの応用的な実装をする
4-3 翻訳ファイルを使ってテーマを多言語対応に
4-4 テーマ実装後の動作確認をする
4-FT オリジナルテーマ「sonoichi」でカスタマイズの練習をする

第5章 テーマを目的に合わせて独自にカスタマイズする
5-0 この章の概要
5-1 各投稿にソーシャルボタンを設置する
5-2 Twitterタイムラインをサイドバーに表示する
5-3 個別投稿ページに関連投稿リンクを表示する
5-FT プラグイン利用で広がるWordPress活用法

第1章は概略と環境の準備、WPのインストールなどの説明です。XAMPやMAMPの導入などは、他の本などでもいくらでも紹介されているのでもうお馴染みの方も多いのではないでしょうか。

第2章から実質的な内容になります。

まずはWPの基本的な使い方、仕様の説明の後、現時点で最新の公式デフォルトテーマ、Twenty Thirteenの解説になります。

Twenty Thirteenの特徴の一つは「投稿フォーマット」が豊富になったことだと思います。本書では全部の投稿フォーマットと、functions.phpとの関係も説明されていて、この点は投稿フォーマットが全然わかってない&使ったことない自分にはとても参考になりました。

2-4章ではTwenty Thirteenの各テンプレートのソースを解説しています。
Twenty Thirtheenを使わない人も多いと思いますが、Twenty Thirteenに限らないWPテーマ共通のタグや処理などの説明がされているので、どんなテンプレートを使う/カスタマイズするにしても、読んでおいて損はないと思います。

さて、第3章からいよいよ実作業的な内容に入っていきます。

ここではTwenty Thirteenと、筆者オリジナルテーマのsonoichiとのソースを比較しながら説明しています。

筆者の意図は、PHPがわからなくても、テーマのPHPはそのまま残しておいて、それ以外のHTML部分を変えるだけでもかなりカスタマイズはできる。自分でテーマをフルビルドする場合でも、公式のテンプレをベースにして作った方がいいですよ、ということのようです。

参考や勉強のために、まず既存のテーマを利用するのは自分もいいと思います。ただ、HTMLだけではやはりカスタマイズの限界がすぐ来てしまうので、PHPをいじるのはいずれ避けられないはずです。「HTML・CSSはわかるけどPHPが・・・」というのが一番WordPress初心者はつまずくところだと思うので、テンプレートタグやfunctions.phpなどへの取っかかりを、もう少し丁寧に説明した方がよかったのでは、とは感じました。

たとえば「前後ページへのページネーションの、矢印を<<や>>に変更する」というカスタマイズでは、「独自関数ですからfunctions.phpを覗いてみましょう」「twentythirteen_page_nav関数の引数を書き換えてみましょう」「はい、書き換わりましたね」と順々に説明されていますが、初心者としては、自分のカスタマイズしたいことはどのファイルのどこをいじればいいのかの見当がつかなくて、苦労することが多いと思うんです。

同様に「カレンダーウィジェットの<<と>>を矢印に変えましょう」という節でも、「カレンダーウィジェットには、出力直前に「get_calendar」というフィルターフックが用意されています。(中略)以下のようにfunctions.phpに記述します。」という流れで、書いてあるとおりにやればカスタマイズはできますが、ここに書かれていないカスタマイズをしたい場合はどこをどうしたらいいのか、フックを使っているならそれはどうやって調べたらいいのか、といったことの説明はありません。

ですので、説明は参考にはなるけれども、応用が利かせにくいなぁ、とこの段階で感じました。

第4章、5章はやや難易度が上がります。特に「5-2 Twitterタイムラインをサイドバーに表示する」と「5-3 個別投稿ページに関連投稿リンクを表示する」は、ウィジェットの登録や、メインループ、サブループなど、かなり使い手のあるカスタマイズが紹介されています。

両方ともプラグインで実現はできると思いますが、敢えて手でソースを書くことで、これらの仕組みを把握してほしい、と筆者の方は考えられたのでしょう。その意図はわかります。が、そうであるならば、もう少しここのPHPのソースも、それこそ一行一行解説をしていって、他の使い方への応用しやすくなるような配慮をして欲しかった、と思いました。

総じての感想ですが、初心者から中級者へのステップアップ向けで、実習よりも理解重視、公式テーマを解説することで正しい知識、正しい書式などを得られる点はマル、ただし応用や逆引き事典的な使い方がしにくいのが残念な点、でした。

個人的にはフックやフィルター、ウィジェット登録、メインループとサブループへの取っかかりができたのが一番の収穫でした。

以上、WP本の個人的な書評でした。モニター当選させてくださったSBクリエイティブの三津田治夫様にお礼申し上げます。どうもありがとうございました。